土台の大切さ

 先日ある利用者さんから「小池さん」と声をかけられました。泣いておられて、「どうしたの?」と尋ねると「もうしんどいわ」と仰っていました。その方のプライバシーにかかわることになるので詳細は書けないのですが、その方の「○○したいねん」という訴えに対して「そうなんやな」と聞いていると、ふっと表情が変わり泣くのをやめて「もういいわ」と去っていかれました。

 あれ何か変なことを言ってしまったのだろうか…と考えたのですが、思い当たるところもなく、家に帰った後も考えていました。

 

 障害のある方の支援分野だけで活用されるものではないのですが、「応用行動分析」とか「行動理論」といった心理学の考え方があります。誰か先生について専門的に学んだわけではないのですが、外部の研修に参加したり本を読んだりして学んだことがありました。

 「行動には”機能”がある」という考え方をして、例えば利用者Aさんの壁をドンドンと叩く行為に対して、スタッフが「危ないからやめよう」と止めに入るといったことが続いていたとします。ここで「もしかするとAさんはスタッフの注意を引くために、そういった行動をしているのではないか」といったふうに考え、壁を叩く行為には反応しないようにする、そして「他者の注意を引くための好ましい行動」をAさんに教えていく、といった支援を行っていく・・・といった感じです。

 自分自身の中に深くこの考え方が沁み付いている…とまではいかないのですが、どこかに「この行動は注意を引こうとしているのではないか」といった気持ちがあったのだと思います。泣いていた利用者さんにそれを見透かされた、ということなのではないか、と感じました。

 いろいろな理論や手法も、「目の前の方を人として尊重し、自分のできる限りで向き合う」という土台がなければ、その人らしい生活を支えることには役立たないのだろうな、と思います。書くのは安しですが、少しずつでも実践していこうと思います。

 

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